万里の長城が中国当局のコンクリート修復で真っ平らになったというニュースが世界中で話題となりましたが、この修復が技術者によるしっかりとした修復だったことが明らかとなりました。どうやら現場の技術者たちは、命がけの作業を行っていたようです。
「万里の長城が中国当局のコンクリート修復で真っ平らになった」というニュースは、中国の大手メディアが報じたもの。その後、その情報を鵜呑みにしたネットユーザーが激しく非難して炎上。騒動が拡大したことで海外メディアにも報道されました。
ところがこのニュース、そもそもの情報が間違っていたようです。
メディアが報じた修復前後の万里の長城の写真は、そもそも別の場所の写真。さらに修復された場所は完全にレンガが崩れて歩くことが非常に難しい場所で、コンクリートによる修復ではなく白灰と黄土で作った三和土による修復でした。
修復前とされる写真
修復後とされる写真
こちらが実際の修復前の写真(2011年9月2日撮影)
こちらが実際の修復後の写真
写真を比較すると報道されていた場所は全く異なる場所で、また実際の修復前後を比べると修復というより再建に近く、崩れたレンガを維持するにはこれ以外の方法がないようにも思えます。また今後、三和土は風化によって表面部分が削られて消え、レンガが露出するようになるといいます。
この間違いの告発者である陳術石氏は、遼寧省文化遺産保護センター副主任であり今回の修復の設計者・責任者とのこと。
修復前とされた場所の最新の写真(2016年9月23日)
修復前とされた長城は修復されておらず、現在もそのままの姿をとどめています。草木が伸びており、撮影時よりも後の写真であることが分かります。
陳氏によると、崩れた長城は急斜面にあるため計測や修復には大きな危険を伴い、修復作業は過酷を極めたといいます。